パンデミックが、結果的にEコマースの市場を大きく押し広げたことは、周知の事実です。もちろんそれ以前にも、ネット通販はすでに活発に行われていました。しかし、2020年のEコマースが記録した急速な成長率は、じつに目を見張るものがありました。多くの実店舗が閉鎖に追い込まれたことで、それまであまり熱心でなかった人たちも、必要に迫らる形でネット通販を利用する流れが生まれました。そして今では、多くの人々がネットショップの利便性の高さを身をもって実感しています。この消費の習慣は、今後も社会に定着していく可能性が高いと言えます。
しかし、あらためて考えてみると、今ここで話題にしているネット購入者層とは、具体的にはいったい誰でしょう? それ以前には、どこに隠れていたのでしょうか?答えは、ベビーブーマーたちです。ここではあえて、「シルバーサーファー」という、もう少しクールな名前で彼らを呼ぶことにしましょう。その前に、「ベビーブーマー」という言葉を押さえておきましょう。ベビーブーマーとは、第二次世界大戦後のベビーブームの最中、1946年から1964年にかけて生まれた人々と、一般には定義されています。今現在、実年齢で言うと57歳から75歳の間にあたる人々です。
NPDグループのデータによると1、現在、すべてのネット購入者の中で、最も急速に成長している人口グループは、65歳以上の消費者層です。この層が2020年にオンライン上で支出した金額は、前年比で 49% 増、オンラインショッピングを利用する頻度も、40% の急増を記録しました2。2020年1月から10月までの平均で、この層の消費者は、オンラインショッピングに毎月 1,615 米ドルを支出しました。
これだけを見ても、新たな販売機会を切実に求めているEC小売業者にとっては、非常に興味深い数字です。ただしここでの問題は、パンデミックの完全終息後に (このまま終わって欲しいものです)、その後も引き続き、この傾向が続くかどうかです。高齢者は、新型コロナの重症化リスクが最も高い層です。そのため多くの高齢者が、自分の身を守るために外出を控えて自宅に留まっています。果たしてコロナ終息後には、その人たちはネット通販での購入を放棄し、また以前のように実店舗での買い物に戻るのでしょうか?最近実施された消費者調査によると、ベビーブーマー世代の半数近く (47%) が、パンデミック後にもネット通販での利用を増やす意向を持っています3。この調査結果をふまえて、この世代のオンライン行動を、さらに掘り下げて見て行きましょう。そしてそこから導き出される今後のトレンド予測を、ぜひ、あなたのビジネスに役立ててください。