「DHLのユニフォームをひと目見たときインスピレーションが湧いてきて、僕のブランドと一緒にできないかなと思いました。」
そう話すのは、ファッションデザイナーの平本ジョニー氏。平本氏は、主にデザイナーとして活動する一方で、アーティフィシャルフラワー(造花)ブランド、『THE FLWRS』を立ち上げました。THE FLWRSの造花はすべて、アパレルの生産過程で余ってしまった生地や、着ることがなくなってしまった洋服やバッグなど、廃棄物を再生して作られています。
「宅配という、人々の日常生活に密接にかかわる仕事を支えてきて、そしてその役目を終えようとしているDHLの黄色いユニフォームがとてもいとおしく思えてきて、このまま捨てられてしまうのはもったいないなと思いました。」
役目を終えた使用済みのユニフォームを、THE FLWRSとして花にして生まれ変わらせたい。その思いに共感し、DHLは、廃棄予定のユニフォームを提供することにしました。その量、およそ200㎏。DHLの担当者は、日本全国のサービスセンターから、廃棄予定のユニフォームを集めました。こうして、役目を終えたユニフォームに、アーティフィシャルフラワーという新しい命を吹きこむプロジェクトが動き出しました。
ファッションデザイナーの平本氏が、アーティフィシャルフラワーブランドを立ち上げたのには、理由がありました。
「きっかけになったのは、ある人の死でした。ファッションの世界でとてもお世話になっていた先輩でした。どうにかして、彼の思い出を残しておきたいと思ったときに、体の大きな人だったので、彼が着ていた洋服を花にして残したいなと思って。」
そうした思いからスタートしたTHE FLWRSは、循環型社会へ少しでも貢献することをミッションとしています。
「今まで、いろんなプロジェクトをやらせてもらっています。デニムで有名な岡山の工場の生産過程で出る端切れを再利用したり、色々な国から集めてきた軍服を裁断して花を造って、平和のメッセージを込めたり。」
造花で環境や平和に向けた思いを届けようとするTHE FLWRSの活動の中でも、今回、企業の制服を再生するというのは初めての取り組みとなります。
いま、ファッション業界は変わろうとしています。ファストファッションという言葉に代表されるように、これまでの大量生産と大量消費を短いスパンで繰り返すことを前提としたビジネスのあり方を見直し、各企業、各ブランドが環境への取り組みを模索しています。その一環として、商品の一部にリサイクル素材を使用したり、包装資材を削減したりするだけでなく、輸送や流通の過程でもCO2の排出削減などの取り組みに積極的です。持続可能な航空燃料(SAF)を活用した、DHLの環境輸送ソリューション「GoGreen Plus」も、特にファッション・アパレル企業で多く利用されています。
「僕がいるファッション業界って、廃棄物が多く、これまでたくさん環境に負荷をかけてしまっていたのです。そういった反省も含めて、少しでも廃棄物を減らして、環境と社会に貢献したいです」。
そう平本氏が語るように、ファッション・アパレル産業は、今ではあらゆる産業の中でも、率先してSDGsや環境保護に取り組む産業へと変貌しています。
ファッションデザイナーでもある平本氏は、DHLとファッションの関係について、次のように話しています。
「DHLは、ファッションの世界でとても存在感がある企業だと思います。海外では、色々なファッションブランドとコラボレーションしていて、国際物流の会社という枠を超えていると思います。今回、日本でDHLとこのような取り組みができて嬉しいです。」
グローバルな国際ネットワークを活用したスピーディーな輸送で、ファッションのグローバルサプライチェーンを支えているDHL Expressは、ファッション産業を積極的にサポートしています。世界各地で行われるファッション・ウィークのオフィシャルスポンサーとして運営をサポートするだけでなく、2022年には、デザイナー森川マサノリ氏が立ち上げたブランド「BASICKS」のショーを、東京・新木場のDHLの物流施設、東京ディストリビューションセンター内で行うなど、ファッション業界のさまざまな活動に協力しています
役目を終えて捨てられるだけのユニフォームが、花となってふたたび価値を取り戻すプロジェクト。電気自動車の導入や、太陽光発電をはじめカーボンニュートラルな施設の運営などと同様に、この取り組みは、DHLのサステナビリティに対する新しい取り組みのひとつとなります。
花になって再びお客様のもとへ。小さな取り組みですが、多くの人の心にサステナビリティの意識を届けるきっかけになることを願っています。