1 & 2 - Bloomreach , accessed November 2021
3 - B2B Marketing , July 2019
4 - Harvard Business Review, February 2020
近年B2B(企業間取引)においてもデジタル化が加速し、多くの企業がECサイトへの投資を行ってました。例えば、ウェブサイトの読み込み速度の改善、検索機能やナビゲーションの強化、支払い方法の追加など、ユーザー体験(CX)向上のため、様々な機能の導入や改善を行ってきました。しかし、サイトの滞在時間を伸ばし、エンゲージメント(関係性)をさらに高めるためのパーソナライズ施策への取り組みは進んでいるでしょうか?
ECサイトのパーソナライズ化は、B2B、B2Cを問わず、あらゆるECビジネスにとって重要なポイントです。事実、EC利用者の約80% がユーザーごとにパーソナライズされた体験を提供する企業を積極的に利用する傾向にあります1。その一方、直近でウェブサイトを訪問し、「自分の興味や関心に合った提案をされた」と答えたB2B EC利用者は、わずか22%に過ぎませんでした2。B2Bビジネスは、数週間から数か月、場合によっては数年という長い時間をかけ、培われた買い手と売り手の信頼関係のうえに成り立っています。しかし、従来のパーソナライズ化されたプロセスを、オンラインビジネスにおいてどのように実現できるのか、これは大きな課題となっています。
では、ここからはECサイトをパーソナライズ化することで、すべてのサイト訪問者が、それぞれの好みや目的に合わせて製品やサービスを購入できるようになる重要なポイントを、ひとつひとつ見ていきたいと思います。これらの重要なポイントをしっかり押さえ、ウェブサイトでの販売を伸ばし、確実に利益へ直結させていきましょう。
最初のステップは、あなたのビジネスとユーザージャーニーに沿って、パーソナライズするべき場所を決定することです。最近、ECサイトを訪問した際に良かったと思う体験を思い出してみてください。それはB2Cのウェブサイトであった可能性がありますが、そこから多くのことを学ぶことができます。実際、何が良かったのでしょう?そのブランドがあなたのことをしっかりと理解し、単なる数字としてではなく、一人の大切なお客様として扱ってくれたと感じたのはなぜでしょうか? では次にECサイトにおけるユーザーとのタッチポイントについて考えてみましょう。パーソナライズされた体験(ユーザーに合わせた体験)をどこで提供できるでしょうか?また、競合他社のウェブサイトにアクセスし、その何が優れているのか (何がうまくいっていないのか) 等を確認してみるのも参考になります。
ここで注意しなければならいのは、B2CとB2BのECサイトにおいて、パーソナライズ化するポイントに違いがあるということです。B2Cを対象としたECサイトの多くは、消費者に衝動買いをさせることを目的としています。しかし、B2Bでは事情が違ってきます。B2Bビジネスの性質上、購入決定のプロセスや基準は、一般消費者よりも厳しいものであるため、B2Bにおけるパーソナライズは、検索や製品・サービスカタログ、価格設定のメカニズムに至るまで、あらゆるタッチポイントで効率を高めることに重点を置くべきです。このような効率化こそが、ユーザーの購入意欲を高めるのです。
次のステップは、パーソナライズされた体験を誰に向けて提供するのかを決定することですが、B2Bの場合、B2Cと比べて少し複雑になる可能性があります。なぜなら、B2Cのパーソナライズは、ターゲットユーザーは大抵の場合一人ですが、B2Bにおいては、様々な部門や階層などを巻き込み、最終的な意思決定者の判断が必要となるため、ターゲットユーザーは一人でないことが多く、より複雑になります。このような条件の下では、人工知能 (AI) と機械学習の活用が、ユーザーのプロファイルを適切に構築する上で不可欠な役割を果たすことができます。
AIによって具体的に次のことが可能になります。
CRMやA/Bテストなど、ユーザープロファイルの構築に役立つデータソリューションをすでに利用しているかもしれません。B2B ECビジネスを加速する他のソリューションについては、ビジネスニーズに基づいて、リサーチする必要があります。
ここからは、B2Bのカスタマージャーニーをパーソナライズできる、タッチポイントの概要をご紹介します。
検索バー(検索ボックス、検索窓)は、どのECサイトでも非常に重要な機能です。サイト訪問者のニーズを理解することが、B2B ECのパーソナライゼーションのベースであり、検索バーは、その最初の入り口です。
セマンティック検索とは、検索文からユーザーの意図やニュアンスを検索エンジンが正確に把握し、ユーザーが求めるページにできるだけ早く適切に誘導することができる技術です。機械学習がされ、各訪問者に正確な結果を提供することが可能です。つまりパーソナライズされた結果を提供できるようになります。
従来型のB2Bにおける対面営業では、専門知識豊富な営業担当者が複雑で詳細なカタログを買い手に案内し、ユーザーのニーズに合った製品やサービスを提案します。しかしオンライン上では、異なるアプローチを導入する必要があります。
まず、製品・サービスページには、詳細な情報と仕様をもれなく記載します。ユーザーが閲覧している製品に基づき、ガイドやチュートリアルをポップアップ表示させることができます。さらにライブチャット機能を追加することで、ユーザーからの問合せに即座に回答し、具体的な製品・サービスを提案することが可能になります。
ある調査によるとB2Bユーザーの半数近くが自社に特化した価格を期待しています3。B2Bビジネスでは、価格交渉がコミュニケーションの大きな部分を占めています。では、どのようにオンラインビジネスで再現することができるのでしょうか?
卸売市場の変化や、取引額に関して厳格な社内承認ルールにより厳しく予算管理されているB2Bバイヤーなど、B2Bにおける価格設定はとても複雑です。従ってユーザー別に階層化された価格設定モデルを準備する必要があります。
価格設定モデルを自動化することで、ユーザーのタイプに応じて異なる価格を適用することができます。例えば、リピーターにはより良い割引条件を提示するなど、きめ細かな対応が可能になります。また、自動化された価格設定は、在庫や注文数量などに基づいてリアルタイムに価格調整することが可能になります。
B2Bのバイヤーは、配送に関して柔軟性と利便性に大きな期待を寄せています。競争力を高めながら、パーソナライズされたサービスを提供するためには、複数の輸送手段や配送サービスのオプションを用意し、荷物の配送状況を定期的にお客様へ通知することを忘れないでください。
オンラインプロセスの多くを自動化する利点があるとはいえ、ユーザーと直接話しをすることも重要です。B2Bバイヤーの69%は、具体的なニーズに合わせてサービスを提案してくれる企業を求めており4、ユーザーの要望を真に理解してこと、自動化は可能となるからです。
ウェブサイトへの訪問者をしっかり把握し、リード (潜在顧客) に対して直接フォローアップしていきましょう。これはユーザーがカートに入れた商品をキャンセルした場合などに特に有効です。専門知識の豊富な営業担当者が直接フォローアップの電話をすることで、ユーザーの不安を解消し、購入を促すことができるかもしれません。またユーザーにとっては、大切にされ、親身で理解されている印象を与えることができます。
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4 - Harvard Business Review, February 2020