日本からイギリスへ、スムーズかつ効率的に輸出を行うためには、考慮しておかなければならないいくつかの重要事項があります。このガイドでは、通関規制、輸送日数の目安、利用可能な輸送方法などのポイントについてご説明します。 また、適切な国際輸送パートナーを選ぶこともとても重要です。これらのポイントをしっかりとおさえておくことで、日本からイギリスへの海外発送をより効果的に手配し、タイムリーに貨物を届けることが可能になります。
イギリスでのビジネス展開について
オンラインショッピングが盛んなイギリスでは、Eコマース企業にとって大きなビジネス機会があります。2023年だけでも、このセクターの売上高は1,315億米ドルに達し、同国の小売産業全体の38.1%を占めています。このめざましい成長は、同国の人口6,780万人のうち、約6,000万人とも言われるオンラインショッピングを熱心に利用する人々によって後押しされています。2028年には1,853億7,000万米ドルまで拡大するという予測もあり、この市場に参入する企業にとって大きな可能性があることを裏付けています。

イギリスの消費者動向
主要オンライン・マーケットプレイスの月間訪問者数のデータは下記のとおりです:
- Amazon:3億2810万人
- eBay:2億1880万人
- ASOS(エイソス):7,080万人
- Wayfair(ウェイフェア):1050万人
- Vinted(ヴィンテッド):900万人
イギリスの消費者に人気のあるオンラインショッピングのカテゴリーは、おもにファッション、ホビー、電子機器、食品、パーソナルケアなどがあります。
イギリスの消費者はオンラインショッピングで何を重視しているでしょうか?
DHLが実施した「2023年ヨーロッパ消費者調査」では、イギリスの消費者が大切にしているポイントについて、興味深い結果が明らかになりました。

価格重視
イギリスの消費者の45%が、海外から商品をこうn雄する最大の理由に「価格の安さ」を挙げています。

納品スピード
回答者の約半数が「納品の遅さ」を理由に、海外からの購入に抵抗を感じています。

配達オプションの柔軟性
半数以上(53%)が、希望に合った配送方法が選べない場合、購入自体を見送ると回答しています。
これらの調査結果から、イギリス市場で成功するためには、競争力のある価格設定、迅速な配送、そして柔軟な配送オプションが欠かせないことがわかります。国際エクスプレス企業や、オンデマンド配送サービスを提供する国際物流企業と提携することで、こうした目の肥えた消費者により強力にアピールすることができます。
イギリスの注目すべきECイベント
購入が急増するイギリスのECカレンダー:
- 母の日(3月)
- 父の日(6月)
- アマゾンプライムデー(7月)
- ブラックフライデー/サイバーマンデー(11月)
- クリスマスとクリスマス後のセール(12月/1月)
出荷の準備 書類作成と梱包の要点
適切な書類と梱包を準備することは、シームレスな海外発送には欠かせません。以下の留意すべきポイントをご参照ください:
必要書類の準備
以下は、日本-イギリス間の通関をスムーズに行うために不可欠な、書類の一覧です。
- コマーシャルインボイス: この書類には、輸出者と輸入者間で行われた取引の詳細が記載されており、商品の価格、数量、説明などが含まれます。税関当局が、関税を算出際に使用する大切な書類です。
- パッキングリスト:このリストには、寸法、重量、使用されている梱包の種類など、各梱包の内容に関する詳細情報が記載されています。税関当局が貨物を特定し確認し、適切な関税や消費税を算出する際に使用されます。
- 原産地証明書:商品が製造された国を証明する書類です。日英自由貿易協定(FTA)などの貿易協定で特恵関税(特定の条件に基づき与えられる関税の優遇)の適用を受ける際などに必要となります。
- 輸入許可証:輸入制限品目など、特定の品目については、イギリス国内に持ち込む際に輸入許可が必要となる場合があります。これは、特定の商品を輸入する輸入者が許可を得ていることを保証するものです。
- 航空貨物運送状(AWB):荷送人と航空会社との間で交わされる、貨物の輸送条件を詳細に記した運送状です。
- 税関申告書(C88/Single Administrative Document):この書類は、輸入申告の際に税関当局に必要な情報を提供ために必要です。
- 輸入VAT証明書(C79):この証明書はHMRC(His Majesty's Revenue and Customs)が発行するもので、支払ったVATの証明となり、VAT登録事業者が還付を受けることができる。
- 保険証書:この書類は、貨物が輸送中の紛失や破損に対して保険がかけられていることを証明するものです。
- 輸出申告書:最も一般的に使用される書式は日本の日本税関輸出申告書C-5010で、貨物の性質、価額、仕向地などの詳細が記載されています。
正しい梱包
商品を安全にお届けするためには、梱包基準を満たすことが重要です。またイギリスには、害虫や汚染物質の侵入を防ぎ、出荷品の安全性と完全性を確保するための特定の梱包基準があります。
イギリスの梱包基準
- 木製梱包材(パレットや木箱など):厚さ6mmを超える場合、病害虫の蔓延を防ぐため、木材の熱処理または燻蒸処理を義務付けられています。
- ラベリング:木製資材を使用する場合は、包装にISPM15マークを明記しなければなりません。
- 汚染の防止:通関時の不合格や遅延を避けるため、梱包資材が清潔で、汚染物質がないことを確認しなければなりません。
梱包ラベルのガイドライン
- 正しい梱包ラベル:受取人の住所、返送先住所、特別な取り扱い方法(例:"Fragile (われもの注意)"または "This Side Up(天地無用)")を記載したラベルを貼りましょう。
- 適切な配置:ラベルは見やすく、梱包材の平らな面に貼りましょう。開口部や端にラベルを貼らないようにしましょう。
- イギリス規格に準拠する:危険物を輸送する場合は適切な危険表示、必要な通関情報または書類を梱包の外側の透明なプラスチック袋に入れましょう。
適切な梱包材の選択
- 頑丈な段ボール箱を使用する:重いものや壊れやすいものは、国際輸送に耐えられるよう、二重構造の箱をなるべく使いましょう。
- 商品は個別に包装する:輸送中の損傷を防ぐため、エアーキャップ(通称:プチプチ)などを使用しましょう。発泡スチロールなどは、空いたスペースを埋め、緩衝材として使用できます。
- すべての開口部を固定する:輸送中に箱が開かないように、頑丈な梱包用テープを使用してください。コーナーとエッジはさらにテープで補強してください。
これらのポイントを抑えてスムーズな国際輸送プロセスを実現し、遅延や破損のリスクを最小限に抑えましょう。DHL Expressが推奨する梱包のガイドもご覧ください。
通関手続き
日本とイギリスの両国における通関プロセスを理解することは、遅延を回避し、スムーズな発送を実現するために不可欠です。
通関プロセス
日本とイギリス両国の 通関要件と手続きを理解しましょう。日本では、輸出者(発送人)がコマーシャルインボイス、パッキングリスト、および輸出申告書(C-5010)などの必要書類を提出しなければなりません。イギリスの輸入者(受取人)は、コマーシャルインボイス、航空運送状や、必要に応じて輸入許可証などの書類を準備します。
共通の税関要件
- 日本の輸出者(発送人)は、発送するすべての商品がHSコードに基づいて適切に分類されていることを確認しなければなりません。正確な書類はスムーズな通関プロセスに欠かせません。
- イギリスの輸入者(受取人)は、輸入する商品がイギリスの基準および規制を満たしていることを確認します。必要に応じて、安全基準などの証明書などを提出します。
- 関税やその他の税金の可能性:イギリスの輸入関税を含め、税金がかかる可能性があることに注意してください。イギリスは、国外から輸入される商品に対して関税のほか、商品の価額や種類によってはVAT(付加価値税)がかかる場合があります。これらの費用を事前に把握することで、適切な予算を立て、予期せぬ出費を避けることができます
- 税関問い合わせへの対応:税関からの問い合わせには迅速に応対しましょう。通関時の予期せぬトラブル時には、正確な文書と明確なコミュニケ―ションが鍵となりますので準備しておくようにしましょう。提出された書類はすべてコピーをとっておき、税関当局から要求があった場合には追加情報を提供できることが大切です。
- 日英自由貿易協定(UK-Japan FTA):日英自由貿易協定(UK-Japan FTA)により、特定の商品の関税を引き下げ、価格競争力をもたらす可能性があります。この協定のメリットを最大限活用するために、詳細を把握しておきましょう。
禁止・制限品目
イギリスの輸入規制を遵守し、税関での遅れを避けるためには、輸入禁止品目や制限品目のリストを熟知しておくことも重要です。これらには以下が含まれます:
- 違法薬物
- 武器類(フリックナイフ、グラビティ・ナイフなど)
- 護身用スプレー(唐辛子スプレー、CSガスなど)
- わいせつ表現物
- ダイヤモンド原石
- 肉・乳製品の個人輸入
禁止品目や制限品目に関する情報については、常に最新のイギリス政府の公式ガイドラインを参照してください。
イギリスへの輸出のヒント
- EORI番号: イギリスに輸入する場合は、必ずEORI(Economic Operators Registration and Identification)という事業者識別のための固有の番号が必要です。イギリス政府を通じて取得できます。
- DTP(Duties & Taxes Paid): DTPとは、関税・消費税を輸出者に請求するDHL Expressのオプショナルサービスです。通常、関税・消費税は輸入者が負担しますが、DHLのDTPサービスをご利用いただくことで、消費者が負担することを避けることができます。
- 記録の管理: イギリス政府が要求する輸入VAT(付加価値税)証明書(C79)を含む、すべてのコマーシャルインボイスと通関書類を記録し保管しておきましょう。
- VATの後払い制度(Postponed VAT Accounting): PVAを活用することで、輸入時ではなくVAT申告時に輸入VATを計上し、ビジネスのキャッシュフローを改善することができます。
DHL Expressを選ぶメリット
- スムーズな通関:通関に関する専門知識に基づく効率的な通関プロセスで、遅延を最小限に抑え、お客様の貨物が予定通りに到着するようサポートします。
- 信頼性の高いトラッキングシステム:お客様の貨物をリアルタイムでモニターできる追跡システムをご用意しており、お客様は配送状況を常に把握することができます。
- カスタマーサポート:輸送上のあらゆる問題やお問い合わせに迅速に対応する、安心してお任せいただけるサービスを提供します。
- 強固なロジスティクスネットワーク: DHL Expressの輸送ネットワークは、効率的でスムーズな配送を実現します。220以上の国と地域に広がるネットワークと地域ごとの専門スタッフが、お客様の貨物を確実にお届けします。
- 透明性の高い価格設定:DHL Expressの輸送サービスとオプショナルサービスは、透明性の高い価格設定でご案内しており、日本からイギリスへの輸送コストを簡単に把握できます。
日本からイギリスへの国際輸送をDHL Express でシンプルに
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アカウント開設はこちら5 – Worldometer, accessed January 2024
7 & 8 – Statista, January 2024
12 – Statista, May 2023
14 & 15 – DHL European Online Shopper Survey, 2023