
海外市場へのチャレンジは、中小企業にとって大きな成長のチャンスです。しかし同時に、言語・文化・法律・物流といった多方面でのハードルも待ち構えています。こうしたリスクを和らげる手段として有効なのが、公的な補助金や助成金、そして各種支援制度の活用です。
本記事では、中小企業が海外進出を検討する際に押さえておきたい基礎知識から、代表的な支援制度の特徴、さらに物流企業が提供できる実践的なサポートまでを整理しました。補助金を上手に活用しながら、安心してグローバル展開を進めていきましょう。
海外進出を検討する前に知っておきたいこと
初めて海外に挑戦する際は、各国のビジネス慣習や市場動向、資金調達手段などを丁寧に調査することが必須です。
例えば、日本で成功しているビジネスモデルでも、海外では消費者ニーズや競合環境が全く異なる場合があります。また、現地での販路開拓には、文化・規制・商習慣の理解が欠かせません。
さらに、設備投資や現地人材の採用、展示会出展、商品サンプル輸送など、多岐にわたるコストが発生します。ここで大きな味方となるのが補助金・助成金です。特に中小企業向けの「海外展開支援型補助金」では、市場調査やサンプル出荷、海外商談会参加の経費をカバーできるケースが多く見られます。
こうした制度を上手く組み込むことで、余分なコストを削減し、効率的に進出準備を整えることができます。
支援機関 | 制度名・特徴 | 主な対象 | サポート内容 |
中小企業庁 | 海外展開支援型補助金 | 中小企業・小規模事業者 | 市場調査費、展示会出展費、通訳費、販路開拓支援 |
JETRO(日本貿易振興機構) | 新輸出大国コンソーシアム、海外展示会出展支援 | 海外販路拡大を狙う企業 | 専門家による伴走支援、展示会出展補助、海外商談会支援、ビジネス情報提供 |
経済産業省 | ものづくり補助金(海外展開型) | 製造業・サービス業など | 設備投資支援、製品改良・現地適応化、開発費用補助 |
地方自治体 | 各地域独自の海外展開支援 | 地元企業 | 海外展示会出展補助、視察ツアー費用補助、現地商談会企画 |
日本政策金融公庫 / JBIC | 海外投資向け融資制度 | 中小企業全般 | 設備投資や運転資金の融資、長期資金調達 |
商工会議所・民間団体 | ビジネスマッチング支援、貿易相談窓口 | 輸出入を検討する中小企業 | 海外パートナー紹介、契約・法務相談、セミナー開催 |
なぜ海外進出支援が必要なのか
縮小する一方で、新興国をはじめ海外市場の需要は拡大しています。この波に乗ろうとする中小企業は増えていますが、海外展開には高額なコストと専門知識が必要です。
現地調査や法的手続き、物流網の確立など、専門性の高い課題が山積みとなり、情報不足や資金不足が大きな障壁になりがちです。こうしたリスクを軽減する手段として、補助金や助成金といった支援策が注目されています。
支援制度を上手に使いながら、必要なノウハウを身につけることが、海外進出成功のカギとなります。
補助金・助成金・融資制度の違い
- 補助金・助成金:返済不要。展示会出展費、調査費用などに利用可能。ただし使途制限や申請期間がある。
- 融資制度:返済義務はあるが、中長期的に資金を確保できる。日本政策金融公庫や国際協力銀行(JBIC)のプログラムが代表的。
企業の規模や事業内容、進出地域によって最適な制度は異なるため、複数制度を組み合わせるケースも多いです。
主な海外進出支援制度
- 中小企業庁・JETROなどの公的支援 市場調査、海外展示会の出展補助、現地ビジネス情報の提供など、幅広いサポートを実施。 「新輸出大国コンソーシアム」では、専門家が地域ごとに伴走し、事業計画や戦略を 一緒に作り上げてくれます。
- 地方自治体による支援 展示会出展補助、海外視察ツアー、商談会の企画など、地域企業向けの独自施策が充実。特産品や技術を海外に発信したい企業にとっては心強い支えです。
- 金融機関・民間企業との連携 銀行や商社は、資金調達だけでなく、海外ネットワークを活かしたパートナー紹介、為替リスク対策、貿易手続きの支援も行っています。近年は民間のアクセラレータープログラム(アクセラレーターとは、スタートアップ企業や起業家をサポートし、事業成長を促進する支援事業者のこと)や海外進出支援施設の活用事例も増えています。
物流企業が支援できること
海外展開の成否を大きく左右するのは「物流」。製品が無事に海外に届き、現地で販売できる体制が整って初めてビジネスは軌道に乗ります。物流企業は次のような支援を提供できます。
サンプル出荷や少量輸送の効率化
補助金を活用した市場テストでは、小ロットの輸送が発生します。物流企業は航空便・海上便の最適化を提案し、コストを抑えた輸送を実現できます。
通関・輸出入手続きのサポート
国ごとに異なる関税や規制を専門チームが代行し、企業の負担を軽減します。
現地物流網の構築
海外倉庫の利用、現地配送業者との提携、越境EC向けフルフィルメントまでサポート。安定した供給体制を整えられます。
貿易リスクの管理
為替変動や輸送中の破損・紛失リスクに備えた保険提案も可能。
展示会・商談会輸送
展示会への什器や製品サンプルを会場へ直接届ける「展示会物流サービス」で、出展企業の負担を軽減。
物流は単なる輸送ではなく、現地展開を円滑に進める「戦略インフラ」です。補助金を活用する際も、物流費用が対象になるケースが多いため、早めに相談することをおすすめします。

物流企業が支援できること
海外展開の成否を大きく左右するのは「物流」。製品が無事に海外に届き、現地で販売できる体制が整って初めてビジネスは軌道に乗ります。物流企業は次のような支援を提供できます。
サンプル出荷や少量輸送の効率化
補助金を活用した市場テストでは、小ロットの輸送が発生します。物流企業は航空便・海上便の最適化を提案し、コストを抑えた輸送を実現できます。
通関・輸出入手続きのサポート
国ごとに異なる関税や規制を専門チームが代行し、企業の負担を軽減します。
現地物流網の構築
海外倉庫の利用、現地配送業者との提携、越境EC向けフルフィルメントまでサポート。安定した供給体制を整えられます。
貿易リスクの管理
為替変動や輸送中の破損・紛失リスクに備えた保険提案も可能。
展示会・商談会輸送
展示会への什器や製品サンプルを会場へ直接届ける「展示会物流サービス」で、出展企業の負担を軽減。
物流は単なる輸送ではなく、現地展開を円滑に進める「戦略インフラ」です。補助金を活用する際も、物流費用が対象になるケースが多いため、早めに相談することをおすすめします。
補助金を活用するメリットと注意点
メリット
- 資金負担の軽減とリスク分散
渡航費・展示会費用・現地採用コストなどをカバーできる。
- 信用力の向上
公的支援を受けることで、海外の取引先や投資家からの信頼を獲得しやすい。
注意点
公募時期を逃すと次のチャンスまで待つ必要がある。
経費の使途に制限があるため、事前確認が必要。
書類作成に時間がかかるため、専門家や支援機関の協力を得るとスムーズ。
海外進出支援のステップ別ポイントを挙げてみましょう。
- 市場調査と事業計画策定
JETROや自治体レポートを活用し、事業性を検証。補助金を視野に入れた計画を作成。 - ブランディング戦略と販路開拓
現地文化に合わせた商品展開。展示会・EC導入・現地広告の補助活用。 - 貿易手続・契約・資金調達
通関・契約書作成は専門家へ。補助金+融資の組み合わせで安定した資金計画を。 - 事業拡大とフォローアップ
現地パートナーとの連携強化、継続的な補助金活用、最新市場情報の収集。
まとめ:補助金と物流支援を両輪に、海外展開を成功へ
中小企業が海外市場で成果を上げるには、補助金や公的支援をフル活用し、計画的にステップを進めることが重要です。そしてその過程で大きな役割を果たすのが「物流」。
商品が確実に届き、現地で販売できる仕組みを整えることが、海外ビジネスを継続させる最重要ポイントです。補助金と物流支援を賢く組み合わせ、グローバル市場での成長を実現していきましょう。
国を越えた輸送におけるさまざまな手続きは複雑に感じるかもしれません。DHL Expressアカウントを開設することでより専門性の高いサポートを受けることができ、安心で迅速な国際輸送を実現できます。 海外向けのサンプル輸送から本格的なサプライチェーン構築まで、専門のスペシャリストが個別にサポートします。
参考:自治体別・海外進出に使える補助金・助成金
東京都・大阪府・愛知県で利用可能な代表的な制度です。各制度の特徴と、詳細リンクを参考にしてください。
東京都
市場開拓助成事業(東京都中小企業振興公社)
海外展示会出展、資材・輸送費、通訳などを助成。対象は一定評価を受けた製品やイノベーション分野。上限300万円。
スタートアップ海外進出支援事業
創業10年未満の都内中小企業向け。展示会参加費・EC出店費・外国語サイト制作・販促費など幅広く補助。東京都の補助金・助成金・支援金一覧(補助金ポータル)
海外展開ハンズオン支援(東京都産業労働局)
専門家の伴走支援、商社マッチング、展示会サポート、知財戦略などを実施。一定の経費補助も提供。 海外展開支援(リーフレット)
大阪府
外国出願支援事業(経済産業省 近畿経済産業局)
中小企業の特許・意匠・商標などの海外出願費用を最大300万円まで補助(補助率1/2以内)
グローバル展開補助
市独自の制度として、堺市グローバル展開促進補助金(最大30万円)やJAPANブランド育成支援(最大2,000万円)などあり。大阪府の海外展開の補助金、助成金、給付金一覧
企業立地促進補助金(外資系企業対象)
大阪府内に本社機能を設置する外資系企業向け。家屋取得や賃借、雇用人数に応じて数百万円から最大1億円支援。大阪府公式ウェブサイト
愛知県
経済産業省 中部経済産業局
海外への特許・商標など出願費用を補助。1企業上限300万円、案件ごとに最大150万円(特許)、60万円(商標など)。中小企業等海外展開支援事業費補助金 (海外出願支援事業)
海外販路開拓支援事業補助金
米国関税影響を受ける中小・中堅企業が対象。海外展示会出展費用の3分の2を補助、上限50万円。愛知県公式サイト
※詳しい申請条件や受付期間などは、リンク先の最新情報を必ずご確認ください。