国際輸送を行う際、スムーズな通関を実現するには、必要書類の基本を押さえておくことが欠かせません。本記事では、通関に必要な書類をわかりやすく解説します。準備不足による遅延を防ぎ、荷物を確実に目的地へ届けるためのヒントとして、ぜひご活用ください。
* ATAカルネ(ATA Carnet)は、「物品の一時輸入のための通関手帳に関する通関条約(ATA条約)」に基づいて発行される国際通関書類です。ATAとはフランス語の「Admission Temporaire」と英語の「Temporary Admission」の頭文字で、まさに「一時輸入」を意味します。
通関とは?なぜ重要なのか
通関とは、物品が国境を合法的に越えるために必要な公的手続きのことです。このプロセスの根幹を支えるのが、正確な情報と適切な書類の提出です。
輸出入を行う際には、完全かつ正確なコマーシャルインボイス(Commercial Invoice)に加え、輸出入国の規制当局が求める追加書類を提出する必要があります。これらの書類をもとに、通関業者が税関申告書を作成し、何をどこへ輸出入するかを当局へ報告します。
書類に不備や誤りがあれば、貨物が差し止められたり検査対象になったりするだけでなく、最悪の場合は没収されることもあります。ビジネスの損失や顧客への迷惑を避けるためにも、正確な書類の準備は最重要事項といえます。
通関に必要な書類
国際輸送では、輸出入国それぞれの規制要件に沿った書類の準備が不可欠です。各書類は、何を・どこから・どのような方法で輸送するかを証明する固有の役割を持っています。詳しくは「海外発送に必要な書類とは?」もあわせてご参照ください。
通関が遅れる7つの原因と対策
スムーズな通関を実現するために、以下のよくある落とし穴に注意しましょう。
1. 書類の不備・不正確な記載
コマーシャルインボイスや航空貨物運送状 (Air Waybill)などの書類に情報漏れや誤りがあると、通関が止まります。輸出入国の規制要件を満たした、完全で正確な情報の記載を徹底してください。
2. HSコード(Harmonized System Code)の誤り
誤ったHSコードは通関の遅延を招き、関税額の計算にも影響します。日本の税関が提供するオンラインHSコードデータベースを利用して、正確なコードを確認しましょう。DHL MyGTS(マイグローバルトレードサービス)*でも、貨物の特性に応じたHSコードの調査をサポートしています。
*輸出⼊準備をサポートする無料の通関情報ポータルサイト
3. 申告価格の過少申告
関税を抑えるために貨物の価格を低く申告することは不正行為です。遅延・高額の罰金・追加ペナルティのリスクがあります。必ず実際の価格を申告し、必要に応じて購入証明書や支払い証明を用意してください。
4. 輸出入規制への違反
各国の輸出入ルールに従わないと、貨物の差し止めや没収、罰金の対象となります。事前に対象国の規制を調べ、必要なライセンス・許可証・証明書を取得しておきましょう。
5. 関税・税金の未払い
必要な関税や税金が支払われなければ、税関は貨物を解放しません。発送前に、送り主・受取人のどちらが支払うかを明確にし、迅速な支払い手段を用意しておきましょう。
6. 不適切な表示・梱包
ラベルの不備や貼り忘れ(特に危険物の場合)は通関遅延の原因になります。梱包ルールをしっかり確認し、ラベルは明確かつ正確に表示してください。
7. 税関からの照会への無回答
税関当局や通関業者から追加情報や書類の提出を求める照会があった場合、返答が遅れると貨物の通関も遅れます。照会には迅速に対応することが重要です。
一時輸出入(テンポラリー・アドミッション)とは
通常の通関手続きと同様に、一時的な貨物の国際移動についても理解を深めておくことが重要です。特に、機材やサンプルを頻繁に国境を越えて輸送するビジネスには欠かせない知識です。
一時輸出入とは、一般的に物品を販売せず、定められた期間内に再輸出することを条件として、輸入関税・税金が免除(または猶予)される制度です。ただし、厳格な条件と書類要件が設けられているため、必ず輸出入国の規制を事前に確認してください。
一時輸入
工事現場の工具、商業サンプル、試験用機器など、短期間使用するために持ち込む物品が対象です。一定期間内に国外へ持ち出す必要があり、販売や大幅な改変は認められません。関税免除を受けるには、適切な書類の準備と事前承認が不可欠です。
一時輸出
修理や海外での展示会などへの出展のために一時的に国外へ持ち出す物品が対象です。帰国後に追加関税が発生しないよう、一時輸出の目的を書類で明確に証明し、現地の通関要件に従った手続きを行うことが重要です。
こんな場面で活躍する:一時輸出入の主な活用シーン
- 海外展示会・見本市への出展品や展示什器の搬入
- 商談・営業活動のための商品サンプルの持参
- 海外ロケやイベントへの撮影機材・音響機材・照明機材の輸送
- 海外での修理・メンテナンスを目的とした専門機材の一時持ち出し
- テスト・評価目的での試作品や測定機器の輸送
ATAカルネの重要性
ATAカルネは、見本市のディスプレイや専門機器などの対象品目について、ATAカルネ加盟国・地域間での一時輸入時に、関税・輸入税の免除を受けられる国際通関書類です。カルネの有効期間内に物品を返却することが条件となります(各国の規制要件に準拠)。
80カ国以上で広く受け入れられているATAカルネは、通関手続きを大幅に効率化し、コスト削減にも貢献します。ただし、すべての物品が対象となるわけではなく、品目によっては追加書類や法令遵守の確認が必要になる場合があります。
ATAカルネの最大のメリットは「1冊で複数国の通関を完結できる」点です。通常、国ごとに輸出入申告が必要ですが、ATAカルネがあれば対象国の税関でカルネを提示するだけで手続きが完了し、関税・輸入税も免除されます。
輸出入手続きをプロのサポートで簡単に
通関プロセスをもっとシンプルにするために、DHL ExpressではMyGTS(マイグローバルトレードサービス)を提供しています。無料で使えるこの使いやすいプラットフォームで、国際輸送に関するさまざまな規制をスムーズに把握できます。既存のDHL Expressビジネスアカウントでログインするか、新規にMyGTSアカウントを登録するだけで、以下の機能をご利用いただけます。
- 出荷前プラン(Pre-shipment Planner):出荷国‧仕向国、商品情報を⼊⼒すると、必要書類やコストをまとめてPDF化。社内共有にも便利です。
- HSコード検索(Tari Code Finder):キーワードやコードを⼊⼒すると、AIが正しいHSコードを提案。誤分類や通関遅延を防⽌できます。
- 総陸揚げコスト試算:輸送費、保険料、関税‧税⾦を含めた総コストをシミュレーション。価格設定やコスト⾒積もりに役⽴ ちます。
- 国ごとの規制‧書類要件確認:仕向け国ごとの通関規制や必要書類を事前に確認でき、国境での差し止めリスクなどトラブルを未然に防げます。
- 通関書類・テンプレート:必要な書類のサンプルやテンプレートを簡単に収集できます。なお、最終的な書類はご自身で内容を確認のうえ、輸出入国の税関当局が定める書式・言語でご提出ください。
- 商品カタログ機能:過去の検索履歴・商品情報・HSコードを登録しておくことで、繰り返しの発送作業を効率化できます。
輸出入を行う国・地域の規制要件を常に最新情報で把握し、法令を遵守するため、必要に応じて通関や法律の専門家にご相談いただくことをお勧めします。
また、DHL Expressでも専門的なサポート体制を通じてご相談を承っています。お気軽にDHL Expressまでお問い合わせください。お客様のニーズに最適なソリューションをご提案いたします。