SKUとは、Stock Keeping Unit(ストック・キーピング・ユニット)の略で、製品の在庫管理や出荷管理・追跡などのために企業が独自につける、製品を区別するための最小の管理単位となるコードです。製品を特定する、いわゆる「品番」や「シリアル番号」などとは異なり、SKUはビジネスにおける製品の独自の「指紋」のような存在で、サプライチェーンマネジメント(SCM)において効率的に製品を特定・管理し追跡するのに役立ちます。
複雑で多様な製品を販売する日本の企業にとって(特に電気製品やファッションアイテムなどで一般的)、正確なSKUを管理することは、効率的なビジネスの基盤です。またSKU戦略は、在庫の管理だけでなく、収益に影響を与え、Eコマースにおける重要なビジネス要素でもあります。
SKUがサプライチェーンマネジメント上で何を意味するのか、類似の専門用語との違い、そして正しいSKU戦略が業務エラーを最小限に抑え、海外発送業務を最適化するために重要である理由についてご紹介します。
SKUと他の用語の違い:用語の明確化
SKUは、他の重要な管理番号と混同されることが多い概念です。自社で作成する内部追跡コードと、UPCのようなグローバルに標準化された外部識別子との違いを理解することが重要です。
- SKU(ストック・キーピング・ユニット):販売者が内部追跡、在庫管理、および利益分析のために作成する独自の英数字のコードです。製品のバリエーションを分類するための言語であり、製品を区別する最小の管理単位となります。
- GTIN/UPC (グローバル・トレード・アイテム・ナンバー/ユニバーサル・プロダクト・コード):小売のPOSシステム、サプライチェーン上のコミュニケーション、国際税関/コンプライアンスに使用される、グローバルに標準化された外部識別番号(通常は全て数字)です。単一の製品ラインには1つのUPCが割り当てられますが、複数のSKUがあります。(例:ひとつの靴のスタイルにはひとつのUPCだが、サイズやカラーバリエーションごとに10のSKUがある場合など)
- バッチ番号/ロット番号:品質管理やトレーサビリティのために同じ生産ロットからのユニットをグループ化するための番号です。生産バッチごとに新しい番号が付与されます。
- シリアル番号(S/N):保証や追跡目的のために製品ひとつひとつ(しばしば高価な電子機器)に個別に割り当てられる独自の識別子です。SKUが製品の種類に付ける番号であるのに対し、シリアル番号は製品アイテム単体に割り当てられます。
SKUの役割:Eコマースと国際配送における重要性
正確なSKUシステムは、フルフィルメントと国際出荷業務の成功に直接影響します。SKUが適切に管理されていることで、在庫数を正確に把握でき、オーバーセリングによる顧客の信頼低下やフルフィルメントのトラブルを防ぐことができます。例えば、特定のバリエーションが在庫切れになった際に、すぐにキャンペーンを停止できるなど、デジタルマーケティング戦略 の精度向上にも貢献します。
しかし、倉庫で間違ったSKUを選んでしまうと、誤配送につながります。このようなエラーは、コストも時間もかかるリバースロジスティクス(国際返品)を招き、利益率や顧客満足度に影響を及ぼします。
したがって、正確なSKUシステムを導入することは、国際配送プロセスにおいて譲れないステップです。これにより、出荷者はパッケージの内容を迅速に特定・確認でき、国際配送での出荷時に遅延や追加料金につながるエラーのリスクを減らすことができます。
効果的なSKU番号を作成する方法
効果的なSKUは記述的かつ論理的であり、従業員と自動システムの両方が製品を物理的に見なくても、その特徴まで正確に特定できる必要があります。このような論理的な構造こそが、効率的な在庫管理の鍵となります。
SKUを作成する最も効率的な方法は、階層を取り入れることです。階層は通常、より広い識別子からより具体的な属性へと進むのが一般的です(ブランド > カテゴリー > 属性)。
以下は、製品のSKUを作成する方法と、含めるべき重要な要素です:
- ベンダー/ブランド識別子:サプライヤーまたは自社ブランドのための短く明確なコードから始めます(例:NPNは任天堂、SONはソニーなど)。
- 製品/モデルライン:特定の製品ラインまたはモデルを特定します(例:A7はα7カメラ、TSはテクニカルシャツ)。
- 主要属性/バリエーション:重要な差別化要因のためのコードを組み込みます。ここでは、サイズ、色、素材、容量などのバリエーションを追跡します(例:BLK-Lはブラック・ラージ、512Gは512GBなど)。
- 連番識別子:ユニークさや製品のバージョンを示すための最終的な番号を追加します(例:001、v2)。
特定の製品のためにうまく構築されたSKU番号は、次のようになります:NPN-GAM-GRY-001(任天堂 - ゲームコンソール - グレー - バージョン001)。
避けるべき一般的なSKUの落とし穴
経験豊富な企業でも、SKUシステムには思わぬ落とし穴があります。これらの誤りを避けないと、フルフィルメントにおけるエラーやビジネスコストの増加につながります。
避けるべきSKUの主要な間違いは次のとおりです:
- 混乱を招く文字の使用:数字に見える文字(例えば、文字の「O」と数字の「0」、文字の「I」と数字の「1」)は避けます。また、ソフトウェアを混乱させたり、迅速に読み取るのが難しい記号(ハイフン、スラッシュ、アスタリスクなど)も避けたほうがよいでしょう。これは、自動システムでさえこれらの文字を誤解釈し、在庫管理にエラーを引き起こす可能性があります。
- 長すぎるSKU:SKUが記述的であることは重要ですが、一般的には8〜12文字以内に抑えます。長いSKUは手動入力中に転記エラーが発生しやすく、また一部のEコマースプラットフォームや出荷ソフトウェアで入力文字数制限を超えることがあります。
- 重複:これはSKU戦略における致命的な欠陥です。すべての異なる製品バリエーション(例:青の小サイズのシャツと青の中サイズのシャツ)は、1つのユニークなSKUを持つ必要があります。異なる製品間で重複したSKUを使用すると、在庫システムのエラーや、在庫の不一致、不正確な販売データ、顧客に誤ったアイテムを出荷するというトラブルを引き起こします。
正しいSKUでシームレスなグローバル配送を
日本から製品を輸出する企業にとって、ストック・キーピング・ユニット(SKU)をマスターすることは、Eコマースビジネスを拡大し、競争の激しい国際市場で成功するために譲れない要素です。しっかり設計されたSKUシステムは、正確な在庫数と効率的な注文ピッキング業務などにおいて極めて重要です。最終的には、国際配送で発生し得る高コストかつ時間のかかるエラーを最小限に抑えることにつながります。
そのため、論理的で一貫したSKUシステム構築に少しの努力を投資することで、代償の大きいミスを防ぎ、利益を大きく最適化できるのです。
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