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いまさら聞けない国際輸送の基礎:海外発送に必要な容積重量(Dimensional Weight)とは?

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a customer inserting a package into an automated dhl express packing station

 国際輸送コストを算定するうえで、「容積重量(Dimensional weightもしくはVolumetric weight)」は欠かせない重要な要素です。

海外市場への進出を検討する日本企業にとって、まず直面するのが物流コストの把握と最適化。製品を効率的かつ低コストで顧客へ届けるためには、輸送の仕組みを正しく理解しておく必要があります。

なかでも見落とされがちなのが、容積重量という考え方。これは、輸送費用を決定する際に実際の重量だけでなく、荷物が占める「体積」も加味するものです。本記事では、容積重量の基本から計算方法、さらにコスト削減のポイントまでをわかりやすく解説します。

容積重量とは?

容積重量(国際物流・航空貨物の業界では「容積重量(Volumetric weight)」よりも「寸法重量(Dimensional weight)」と呼ぶこともあります)とは、荷物が輸送時に占める空間量を重量に換算して評価する方法です。航空貨物では、IATA(国際航空運送協会)の規定に基づき、実重量と容積重量のうち大きい方を「運賃重量」として採用します。

DHL Expressを含む国際物流会社は、公平な料金設定を実現するためにこの仕組みを導入しています。

航空機の貨物室は限られたスペースしかありません。たとえば、金属部品のような重くて小さな貨物と、枕のように軽いけれど大きな荷物では、占める空間に大きな差が出ます。容積重量は、こうした不公平を防ぐための仕組みなのです。

つまり、小さくて重い荷物の送り手が、大きくて軽い荷物のコストを負担することのないよう、空間の使用量に応じた公平な料金体系を実現しています。

海外への発送経験が少ないと、容積重量という概念に馴染みがないかもしれません。しかし、輸送コストを正確に見積もるためには、この仕組みを理解しておくことが不可欠です。 

容積重量の計算方法

荷物の寸法がわかれば、計算はとても簡単です。標準的な計算式は以下の通りです:

(長さ × 幅 × 高さ[cm]) ÷ 寸法係数

箱の最も長い辺をそれぞれ測り、単位はすべてセンチメートルで統一します。

寸法係数とは?

「寸法係数(DIM係数または寸法除数)」とは、荷物の体積を重量に換算するための基準値で、輸送手段や運送会社によって異なります。

たとえば航空輸送では、限られた機内スペースを効率的に使うため、一般的に海上輸送よりも寸法係数が小さく設定されています。

DHL Expressをはじめ、多くの国際エクスプレス便でDIM係数=5,000が採用されています。

容積重量が配送料に与える影響

では、容積重量が実際の送料にどのように影響するのか、2つの事例で見てみましょう。

例1:容積重量が実重量より小さい場合

  • 箱の寸法:30cm × 30cm × 36cm
  • 実重量:50kg
  • DIM係数:5000

計算式:
(30 × 30 × 36) ÷ 5000 = 6.48kg

この場合、容積重量(6.48kg)は実重量(50kg)より小さいため、請求重量は実重量の50kgとなります。

例2:容積重量が実重量より大きい場合

  • 箱の寸法:112cm × 22cm × 89cm
  • 実重量:2kg
  • DIM係数:5000

計算式:
(112 × 22 × 89) ÷ 5000 = 43.9kg

容積重量が実重量を大きく上回るため、請求重量は43.9kg
見た目は軽くても、空間を大きく取る荷物は高額な送料が発生することがわかります。

不規則な形状の荷物を測るコツ

円柱形や三角形など不規則な形状の貨物は、最大の長さ・幅・高さをもとに直方体として見なして計算します。
とがった部分や曲面も含めて採寸するのが基本です。業者によっては特例があるため、事前に確認しておくと安心です。

dhl express employee preparing parcels for delivery

日本の輸出業者向け:スマート梱包で輸送コストを削減 

容積重量の仕組みを理解したら、次は「どう減らすか」を考えましょう。以下は、実践的な梱包最適化のヒントです。

  • 箱はできるだけ小さく
    中身に合った最小サイズの箱を使用。空きスペースは“空気を運んでいる”ようなものです。
  • かさばらない梱包材を選ぶ
    発泡スチロールよりも、エアークッションや緩衝紙など、空間を取らない素材を活用。
  • 専用サイズの箱を導入する
    同じサイズの商品を定期的に送るなら、専用設計の箱で無駄を削減。
  • 商品を分解して発送する
    家具や家電など、分解可能なものは小さく梱包することで容積を抑えられます。
  • 発送を分ける
    1箱にまとめるより、小さく分けて送る方がトータルコストが下がるケースもあります。

これらを意識するだけで、無駄なスペース分の送料を支払うリスクを大幅に減らせます。

さらに、航空・海上・陸上など輸送手段ごとの特性を比較し、納期やコストのバランスに合った方法を選ぶことも重要です。

DHL Expressで、物流コストの把握と最適化を

dhl express employee preparing parcels for delivery

DHL Expressでは、重量を決定するうえで密接に関わる「海外発送時の梱包」に関するアドバイスを提供しています。
あわせて、「海外発送における荷物の梱包:トラブルを防ぐ梱包のコツと手順」の記事もぜひご参照ください。

また、DHLでビジネスアカウントお申し込みいただくと、梱包資材は無料です。DHL Expressの梱包資材のご注文はこちらから。

さらに、出荷前にコストを“見える化”できる便利なツールもご用意しています。
輸出前には、対象商品のHSコードを調べ、該当する関税率表を確認することが重要です。
無料オンラインツール「マイグローバルトレードサービス(MyGTS)」を使えば、
出荷計画に必要な通関情報を簡単に取得でき、煩雑な見積もり作業を省いて透明性の高いコスト管理を実現します。

DHLの国際ネットワークとスマート梱包の工夫を組み合わせれば、
製品を迅速・確実・コスト効率良く世界中の顧客へ届けることができます。

海外発送やサービスに関するご相談はこちらから。