商品分類用の国際コード(通関時に使用)。詳しくはこちらの記事もご参照ください。
米国関税の影響をどう捉えるべきか
米国向けに輸出を行う日本企業は、いま大きな転換点に立たされています。2025年7月に日本政府から発表された「米国の関税措置に関する日米協議:日米間の合意」1から始まり、日本からの輸入品に対する米国関税は、輸出企業に即座に影響を及ぼし、厳しい事業環境をもたらしました。2025年8月29日以降のデミニミス(De Minimis: 非課税基準)ルール廃止も記憶に新しいところです。
実際、2025年8月までの対米出荷量は前年同期比で13.3%2減少し、6か月連続のマイナスを記録しています。中でも日本の輸出を支える自動車産業は大きな打撃を受け、同期間に24.2%3の減少となりました。
その後、貿易交渉によって一部の緊張は緩和されたものの、地政学的リスクを背景とした関税政策は依然として続いており、企業の利益を圧迫しています。
コスト増を自社で吸収するか、価格に転嫁して需要減少のリスクを取るか——多くの輸出企業が難しい判断を迫られているのが現状です。まずは、関税が自社のビジネスにどのような影響を及ぼすのかを正しく把握することが不可欠です。
最近の貿易政策の変化により、日本の主要輸出品を取り巻く環境は大きく様変わりしました。実際の関税率は製品の分類(HSコード)によって異なるものの、新たな関税措置が日本から米国への輸出コスト全体に連鎖的な影響を及ぼしていることは明らかです。
たとえば、日本から米国へ輸入される代表的な製品では、従来は無税または低関税だった品目にも、15%の追加関税が上乗せされるケースが見られます。
これにより、最終的な負担額は大きく跳ね上がり、販売価格や利益率、ひいては価格競争力の低下につながる可能性があります。ここでは代表的な製品の関税をいくつかあげてみましょう。
米国に輸入される乗用車には、通常は2.5%の関税がかかります。これに加えて、トランプ政権では安全保障を理由にした特別な措置として、自動車を対象に25%の追加関税が導入されました。そのため、原則としては合計で27.5%程度の関税になります。ただし、国によっては米国との話し合いによって、税率が調整されている場合もあります。(日米協議で15%に調整されたケースあり)
ワインやビール、蒸留酒などのアルコール飲料は、種類によって関税が異なります。0%の場合もあれば、数%かかるものもあります。これらの製品には、自動車のような追加関税はなく、基本的には従来の関税率のままとなっています。
漫画や本などの印刷物は、米国では多くが関税なし(0%)で輸入できます。特別な追加関税の対象にもなっていないため、原則として関税はかからないと考えてよい分野です。
アニメのキャラクター商品などは、実際にはおもちゃ、雑貨、衣類などに分類されます。そのため、商品ごとに関税率が異なり、0%から数%程度になることが一般的です。これらの商品にも、特別な追加関税はありません。
テレビなどの電子機器も、製品の種類によって関税が決まります。多くの場合、関税は0%から5%程度です。自動車とは異なり、追加の関税はかかっていません。
参照元:The WHITE HOUSE
※実際に適用される関税は、製品ごとのHTS(米国統一関税分類)コードによって決まります。輸出にあたっては、必ず正確な分類を確認し、米国税関・国境警備局(CBP)の公式情報を参照してください。
米国関税の影響は、単に「関税分のコストが増える」という話にとどまりません。サプライチェーン全体に波及し、事業運営そのものに影響を及ぼします。
こうした環境下では、場当たり的な対応では不十分です。日本企業には、複数の施策を組み合わせた中長期的な戦略が求められています。
欧米市場への依存度が高い企業ほど、リスク分散が重要になります。東南アジア諸国連合(ASEAN)をはじめ、日本に近い成長市場へのシフトは有効な選択肢です。近年注目されているのが「チャイナ・プラス・ワン」戦略です。中国一極集中を避け、東南アジアなどに生産・調達拠点を分散することで、関税や地政学リスクへの耐性を高めます。加えて、政治的・経済的に安定した国もしくは同盟国や友好国など近しい関係にある国と連携し、サプライチェーンを再構築する「フレンド・ショアリング」も、長期的なリスク管理として有効です。
短期的には、価格戦略の再設計が欠かせません。関税コストをどこまで吸収し、どこから顧客に転嫁するのかを明確にし、必要に応じて価格体系の見直しも検討すべきです。競争力のある価格設定を目指しつつ顧客と関係を維持するには、透明性のあるコミュニケーションが鍵となります。同時に、HSコードの正確な運用や書類作成プロセスの改善など、社内オペレーションの強化も不可欠です。日本からの出荷時にこれらのミスが生じると、コンプライアンス問題や通関遅延など関税以外の追加コスト発生につながります。
関税は制約である一方、新たな市場を見直すきっかけにもなります。ASEAN、インド、中南米などは、日本製の自動車部品や機械に対する需要が高く、成長余地の大きい市場です。
活用可能な貿易協定
※これらの協定を活用するには、原産地規則を満たす必要があります。
関税措置の影響を受ける企業向けには、各種支援策や相談窓口が用意されています。政府や自治体による融資制度・補助金の活用は、影響を最小限に抑える有効な手段です。近年では、セーフティネット貸付の適用範囲拡大など、金融支援の強化も進められています。
また、海外取引や現地法人設立に関する情報と支援を得られる拠点として、ジェトロ(日本貿易振興機構)の活用も有効です。各国の事務所を通じて、米国市場向けのビジネスマッチングや法務・税務に関するアドバイスを受けることができます。
米国関税や貿易ルートの変化への対応は、単独で行う必要はありません。DHL Expressのような物流プロバイダーと提携すれば、強力なグローバルネットワークと日本・米国における深い現地知見を組み合わせた、大きな競争優位性が得られます。
専門的な通関サポート
DHL Expressでは日本と米国双方に国際貿易規制に関する深い知識を持つ通関士および専門家を擁しています。これらのチームは、米国関税がもたらす複雑な状況に対応するための実践的なサポートを提供します。
DHL Expressが提供する専門的なガイダンスは以下になります:
コンプライアンスと効率性を高めるテクノロジー
具体的にDHL Expressが企業向けに提供している、関税軽減戦略を支援し、輸送効率を全体的に向上させるデジタルツールをご紹介します。
米国の関税政策は課題をもたらす一方で、新たな機会も生み出しています。サプライチェーンの多様化や業務効率化といった関税対策を積極的に進めることで、日本企業は長期的な回復力を高め、新たな成長の道筋を描くことができます。
関税に阻まれてビジネスを停滞させる必要はありません。DHL Expressのビジネスアカウントを通じて、複雑な国際輸送を支援する各種サービスをご活用ください。
商品分類用の国際コード(通関時に使用)。詳しくはこちらの記事もご参照ください。
過不足のある関税支払い、罰金、通関遅延、コンプライアンス評価の低下などにつながります。
自国の輸出品に対して相手国が不当に高い関税をかけた場合、その報復として相手国からの輸入品に対して高い関税をかけることです。報復関税は、原則として、WTOの承認を受けて、課されることとなっています。
参照元