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EUDR(欧州森林破壊防止規則)とは?日本の輸出入企業が知っておくべきポイント

european union deforestation regulations

EU(欧州連合)は、「欧州森林破壊防止規則(EUDR: EU Deforestation Regulation、森林減少防止に関する規則)」を発効しました。これは、森林破壊や森林劣化につながる商品の流通を防ぐための新たなルールで、EUに製品を輸出している場合や、EU市場にサプライチェーンを広げる日本企業にとって適切な対応が求められます。対象製品について必要な手続きや書類が不足していると、通関の遅延や罰則の対象となる可能性があります。

本記事では、EUDRの概要、対象製品、企業に求められる対応など、EUとの貿易を行う日本企業への影響について解説します。

EUDR(欧州森林破壊防止規則)とは?

EUDRは、EU域内で販売される、あるいはEUから輸出される製品が森林の破壊や劣化に関与していないことを保証するための規則です。欧州グリーンディールの一環として制定され、従来のEU木材規則(EUTR)に代わる制度として導入されました。

EUDRでは、対象製品をEU市場に投入する事業者に対して、以下を確認することが求められます。

  • 製品が「森林破壊フリー(Deforestation-Free)」であること
  • 生産国の関連法令を遵守していること
  • デューデリジェンス・ステートメント(DDS)が提出されていること

EU市場へのアクセスを維持するためには、サプライチェーンの透明性向上が重要な課題となっています。
 

なぜ日本企業にもEUDRが関係するのか?

EUDRはEUの規制ですが、日本の輸出企業にも大きな影響を及ぼします。

例えば、日本からEU向けに輸出される以下のような製品は、EUDRの対象となる可能性があります。

  • タイヤや工業用ゴム製品
  • 木製家具
  • 紙・紙包装材
  • コーヒー関連製品
  • チョコレート・カカオ製品
  • レザー製品
  • パーム油由来原料を含む製品

EUの輸入者や顧客は、自社のEUDR対応のために日本のサプライヤーへ原材料の調達先やトレーサビリティ情報の提供を求めるケースが増えると予想されます。そのため、特に日本の自動車業界、タイヤメーカー、包装資材メーカー、食品メーカーなどは新規制による影響を受ける可能性が高いでしょう。


EUDRの対象となる主な品目

EUDRは以下の7つの主要商品と、その派生製品を対象としています。

  • 牛(Cattle)
  • 木材(Wood)
  • カカオ(Cocoa)
  • コーヒー(Coffee)
  • パーム油(Palm Oil)
  • 大豆(Soy)
  • ゴム(Rubber)


対象製品の例としては次のようなものがあります。

  • タイヤ
  • ゴム部品
  • 木製家具
  • 木製建材
  • 紙製品
  • 紙包装材
  • チョコレート
  • コーヒー製品
  • レザー製品

実際に適用対象となる製品は、EU規則2023/1115附属書I(Annex I)で定められています。

「森林破壊フリー」とは何を意味するのか?

EUDRでは、対象製品の原材料が2020年12月31日以降に森林破壊された土地で生産されていないことが求められます。

そのため企業は、原材料の調達先を追跡し、以下の情報を把握・管理する必要があります。

  • 農場やプランテーションの所在地
  • 生産地の地理的情報(ロケーション)
  • 生産時期
  • サプライヤー情報
  • 関連証明書類

これまでのように単に完成品を輸出するだけではなく、これからは原材料レベルまでのトレーサビリティを確保することが重要になります。

EUDRの対象となる事業者

EUDRでは主に以下の事業者が対象となります。

オペレーター(Operator):対象製品を初めてEU市場へ投入する事業者、またはEUから輸出する事業者。

トレーダー(Trader):EU市場で対象の製品を流通・販売する事業者。

B2Bの企業間取引だけでなく、一般消費者向けのB2C取引も対象となります。

日本企業の場合、DDSの提出義務はEU側の輸入者が負うケースが多いものの、実務上はEUの顧客から必要なデータの提供を求められる可能性があります。

eu flag

EUDR導入の主なスケジュール

現在の導入スケジュールは以下の通りです。

  • 2026年12月30日:大企業・中堅企業
  • 2027年6月30日:小規模企業・零細企業

対象となる企業は、早い段階からサプライチェーンの確認や必要な情報の確認・整備に着手することをおすすめします。


デューデリジェンス・ステートメント(DDS)で求められる内容

EUDRへの対応では、主に3つのステップが必要となります。

1. 原産地情報の収集

企業は以下の情報を収集・管理する必要があります。

  • 生産地の位置情報
  • 原材料の由来
  • 生産日
  • 数量
  • サプライヤー情報
  • 森林破壊フリーを証明する資料

2. リスク評価

収集した情報をもとに、

  • 森林破壊のリスクがあるか
  • 現地法令を遵守しているか
  • サプライヤーの情報が信頼できるか

を評価します。

評価の根拠についても記録しておく必要があります。

3. リスク軽減措置

リスクが確認された場合は、

  • サプライヤー監査の実施
  • 追加証明書類の取得
  • 調達先の見直し
  • 管理体制の強化

などの措置を講じる必要があります。

なお、関連書類は少なくとも5年間保存することが推奨されています。

eudr supplier due diligence

EUDRの適用除外となるケース

以下は一般的にEUDRの対象外とされています。

  • 2023年6月29日以前に生産された製品
  • 中古品
  • 100%リサイクル材料から作られた製品
  • 個人間の非商業的な発送

ただし、個別の製品分類によって扱いが異なる場合があるため、事前に確認することが重要です。

 

EU向け輸出・通関への影響

EUDRは単なる環境規制ではなく、EU向け輸出における通関要件の一部となります。

必要な情報や書類が不足している場合、以下のリスクがあります。

  • 通関の遅延
  • 税関検査の増加
  • 貨物の保留
  • 罰金
  • EU市場での販売制限

そのため、EU向けに対象製品を輸出する企業は、出荷前に必要な情報を準備しておくことが重要です。

 

日本企業が今から準備すべきことは?

EU向けに輸出を行う企業は、次の対応に着手することをおすすめします。

  • 自社の製品がEUDR対象か確認する
  • 原材料の調達経路を把握する
  • サプライヤーとの情報共有体制を整備する
  • EUの顧客や輸入者と要件を確認する
  • 社内コンプライアンス体制を強化する
  • DDS関連情報を出荷前に準備する

早期に準備を進めることで、業務への影響を最小限に抑えることができるでしょう。


DHL Express がサポートできること

DHL Expressでは、お客様のEU向け貨物が円滑に通関されるようサポートしています。EUDR対象製品を発送する場合は、出荷前に**DDSリファレンス番号(DDN)**をご提供ください。

また、EUDRの適用除外となる場合は、該当するTARICコードをご提出いただく必要があります。

DHLでは以下のようなサポートを提供しています。

  • 輸出入データの提供
  • 通関要件に関する情報提供
  • 対象製品の特定支援
  • 適切な書類準備のサポート
  • スムーズな通関手続きの支援

※なお、DHLはDDSやTARICコードの妥当性を審査・認証するものではありません。正確な情報をご提供いただくことで、円滑な輸送・通関をサポートいたします。

よくある質問(FAQ)

はい。EU向けに対象製品を輸出している日本企業は、EUの輸入者や顧客から原材料のトレーサビリティ情報や証明書類の提出を求められる可能性があります。

主に以下の業界が影響を受けると考えられます。

  • 自動車・タイヤ製造業
  • ゴム製品メーカー
  • 木材・家具業界
  • 製紙・包装業界
  • 食品・飲料メーカー
  • 消費財メーカー

DDS(Due Diligence Statement)は、対象製品がEUDR要件を満たしていることを証明する電子申告書です。EU情報システムを通じて提出されます。

税関による貨物保留や追加検査などにより、通関の遅延が発生する可能性があります。

欧州委員会(European Commission)のEUDRに関する公式ページで最新情報をご確認いただけます。規制要件は変更される可能性があるため、定期的なご確認をおすすめします。